かみさぎ花だより

かみさぎニュース38号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

銀杏(公孫樹)は不思議な植物で約2億年前後の中生代から新生代にかけて地球上に繁栄後、氷河期でほぼ絶滅し、わずかに生き残ったのが現存の銀杏だそうです。

 

授業で習った記憶があります。銀杏は雌雄異株の風媒花です。

実は茶碗蒸しに欠くことのできない銀杏(ぎんなん)。

 

金色(こんじき)の 小さき鳥の 形して いてふ散るなり 夕日の丘に

与謝野晶子

 

銀杏散る 童男童女 ひざまづき(子どもたちが美しい落葉を拾う様が可愛らしい)

川端 茅舎

かみさぎニュース37号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

曼珠沙華は不思議な形の花ですね。茎の上に花を乗せているように咲く。花と葉を同時に見ることはできません。

 

根には毒性がありますが、それでも昔は飢饉の時に良質な蛋白質のある根を潰し数日、水に晒して食した、と言います。

 

お彼岸に咲くのでヒガンバナという別名があるほどです。町内の歩道脇で見られます。曼珠沙華の大群落で有名なのが埼玉県の高麗にある巾着田です。

 

くれなゐの 冠いただき 曼珠沙華

鷹羽 狩行

かみさぎニュース36号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

7月、8月に七夕祭りが全国津々浦々で行われます。

この祭りと切り離せない「竹」を取り上げました。


空洞の竹は古来より神聖で中に神が宿ると信じられていました。
かぐや姫がいい例ですね。
さらに竹は成長が早く生命力の象徴ともされました。子供の幸せを願い短冊にしたため、竹を飾り、そしてお星さまに祈る。みやびな世界です。

 

今回は正岡子規の俳句です。

うれしさや 七夕竹の 中を行く

 

現代訳:子ども達が七夕の笹を手に喜々として歩いてくる。
その間をぬっていくと何という、うれしい心持になることよ。

子規の温かさが感じられます。

かみさぎニュース35号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

今回は道端にひっそりと咲いているスミレの花。 芭蕉の「山路来て 何やらゆかし スミレ草」はよく知られています。

スミレを万葉集で探してみました。

 

山吹の 咲きたる野辺の ツボスミレ この春の雨に 盛りなりけり

高田女王(おおきみ)

 

現代訳:山吹の咲き誇る野辺でもそれだけに目を奪われないで。
スミレもたくさん咲いている。細く白く降る春雨の中でスミレも山吹に負けず盛りを迎えている。

 

スミレは種で増えますので、道端で気に入った花に出会えたら種の時期まで待って自宅に蒔いてみるのも良いのでは……

かみさぎニュース34号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

今回は木へんに春の「椿」です。

いかにも春の使者という風情。古事記にも載っているようです。

また豊臣秀吉、徳川秀忠が愛した、と言われています。安土桃山時代から茶道の茶花として好まれ、それ以降、様々な品種が栽培されました。

 

さらに、和菓子の祖とされる椿餅が万葉集・源氏物語にも登場しています。

さて、椿に関連してよく知られている俳句と短歌を紹介しましょう。

 

赤い椿 白い椿と 落ちにけり

河東 碧悟桐

 

山寺の 石のきざはし(階段)下りくれば 椿こぼれぬ 右に左に

落合 直文

かみさぎニュース33号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

あと半月ほどで正月。新年を迎えるために、多くのお宅で門松を飾ることでしょう。

今回は町内どこでも出会える「松」を取り上げます。

 

「松」は「祀る」につながり神が宿る樹木と言われました。正月とは各家々が歳神(としがみ)様をお迎えする行事です。

 

歳神様とは家内安全、家族繁栄等をもたらす神であり、ご先祖様ともいえるようです。この神を迎える神聖な目印「依代(よりしろ)」が「門松」です。

 

今回は一休さんに登場してもらいましょう。

有名な歌を紹介します。

 

門松は冥土(めいど)の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし

 

さすが一休さんですね。目の付け所が違います。

かみさぎニュース32号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

日本の秋に一番なじみ深い「紅葉」「黄葉」をテーマにしました。

さて、この二つの違いは時代の変遷のようです。

 

奈良時代には「黄葉」、平安時代から「紅葉」が和歌の主題だったようです。黄色を大切にした中国の影響の多寡等が要因との説も。

そこで秋のなじみ深い在原業平の歌を挙げました。

 

ちはやふる 神代も聞かず 竜田川 唐紅に 水括るとは 

在原 業平

 

現代語訳:様々に不思議なことが起こるという神代の昔でさえ、こんなことは聞いたことがない。

竜田川(奈良県の紅葉の名所)を、一面に散り敷いた真っ赤な紅葉が染め上げ、川の水面をまるで一枚の括り染めの布のように彩っているこの情景は…何とも言葉に表現できない…。

 

※括り染め:布の一部を摘まみ糸で巻締め、一部を白く染め抜く技法。

深紅に散り敷く紅葉とところどころに見える川の水との対比。

かみさぎニュース31号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

一昨年、ご紹介した秋の七草。

その一つ「撫子」を特集いたします。最近ではなでしこジャパンで「撫子」が有名になりました。

実は撫子には日本古来からの川原撫子(=大和撫子40cm~50cm)と茎の長さが5cm前後の西洋撫子があります。写真が原種の川原撫子で6月頃に花屋の店先に顔を出します。

かつては山野に咲き乱れていたことでしょう。万葉集には何首も登場します。

今回はそのうちの二首をご紹介します。

 

野辺見れば 撫子の花 咲きにけり 我が待つ秋は 近づくらしも 

詠み人未詳巻10の1972

現代語訳:野原に出てみると、撫子の花が咲き始めた。

私が待ち望んでいた秋が近づいてきたことに間違いない。

 

撫子が その花にもが 朝な朝な 手に取り持ちて 恋ぬ日なけむ

大伴家持巻3―408

現代語訳:あなたがこの撫子の花であったらいいのに。

そうすれば毎朝、毎日、手に抱いて恋しく思わない日はないだろうに。愛しいあなたよ。

婚約者の坂上大嬢(さかのうえのおおいらつめ)に贈った歌。

かみさぎニュース30号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

今回は「萱草(かんぞう)」。

ユリ科の花。漢方で有名な甘草は全く別のマメ科。左の「萱草」の花は、今から76年ほど前に亡き母が上鷺宮4~5丁目にかつてあった八成山の雑木林から持ち帰った花の子孫です。

萱草は別名「忘れ草」。人の憂いを忘れさせてくれるという中国の古典が原点。この花を詠み込んだ万葉集を紹介します。

 

忘れ草 垣もしみみに 植ゑたれど 醜(しこ)の醜草(しこくさ) なほ恋ひにけり

 

現代訳: 憂いを払う忘れ草を垣根にあふれるほど植えたけれども、バカな!話と全く違う。

全くバカな草だ!あなたを胸焦がすほど恋しく思う気持ちが忘れられないなんて!

(作者不詳 巻12 3062)

かみさぎニュース29号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

「藤」についてあることに気づきました。何と「藤」に関する姓が多いことか。藤原、藤田、斎藤、加藤、近藤…。

 

日本の姓は「藤」以外でも植物の名、自然界の森羅万象の名を取り込むという、他国には例をみない特色があります。

 

藤色と言いますが昔から紫は高貴な色でした。確実にこの地区で見られるのは上鷺東公園、八成公園等……。

では万葉集から一首、ご紹介します。

 

恋しけば 形見にせむと 我が宿に 植ゑし「藤波」 今咲きにけり

山辺 赤人 万葉集

 

現代語訳: あなた様をあまりにも恋しく思うあまり、あなた様の思い出にしようと、

私の家庭に植えた藤の花が今、真っ盛りに咲いてることです。

 

かみさぎニュース28号掲載分

上鷺宮区民センターの花だより

「かたくり」の花です。片栗と言えば片栗粉を思い浮かべますよね。昔はこの球根が使われていましたが、現代ではジャガイモのでんぷんが原料です。

 

3~4 月に4 ㎝位の小さな花が咲きます。今では絶滅危惧種。かつては日本の山野に絨毯のように咲いていました。群落は練馬区光が丘の西方にある「清水山憩いの森」で見ることができます。

 

もののふの 八十(やそ)をとめらが 汲みまがふ

寺井の上の かたかごの花

大伴家持 万葉集巻19-4143

 

現代訳:若い娘たちが皆で水を汲んでいる。その寺の井戸の傍らに咲くかたくりの花の何と美しいことよ。㊟「もののふ」は「八十」の枕詞です。

かみさぎニュース27号掲載分

今回のテーマは花でなく雪。雪月花という自然を愛でる古

来よりの言葉にある「雪」。その雪を詠み込んだ新年を迎え

るにふさわしい大好きな万葉集の一首を紹介します。

上鷺宮一丁目の畑にも雪が教科書に載っているかもしれませんね。各階層の人が身分を問わず4500 首余り創った万葉集中、最後を飾る大伴家持の歌です。

 

 

新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと)

 

現代訳:新しき年の初めのこの初春の良き日。その日に降り積もる純白の雪のように、今年、良いことが

たくさん重なりますように。

皆様にとって来年が、家持の歌のように良いことが重なる年でありますように。

かみさぎニュース26号掲載分

紫陽花

かつて町内では多くの家に植えてあった柿。晩秋には家族総出で楽しげに柿の実を採る姿が、秋の風物詩でした。

しかし昨今は誰も採る人がなく、小鳥の啄むに任せるか、落ちるに任せるかというお宅が増え、柿には気の毒な時代になりました。柿は中国原産ですが、ヨーロッパでは「kaki」と言うそうです。

俳句を探しました。そこにはほのぼのとした庶民感覚があります。

 

祖 父(おほぢ)、親、孫の栄(さか)えや

柿、みかむ(ミカン) 

松尾芭蕉

訳=昔から代々、柿、蜜柑は家の繁栄の象徴であった

 

他 ・柿色の 日本の日暮れ 柿食えば 加藤 楸邨   ・家ごとに 柿の大木 家ゆたか 吉川 重

  ・この柿は 母の手植えと 叔母に聞く 福島 二美 ・柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 正岡 子規  

<お詫びと訂正>

地域ニュース10 月15 日号の本コラムで、「柿食えば 鐘が鳴る鳴る法隆寺」は、

「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」が正しい表記です。

お詫びして訂正します。

かみさぎニュース25号掲載分

紫陽花

昨年ご紹介した秋の七草の中で万葉集最多を誇り詠まれていた花が「萩」。月見の花にも「萩」が・・・。秋のお彼岸に食べるのが「おはぎ:お萩」。かるたの中にも・・・。古来から美術工芸品にも「萩」が・・・。8,9月には町内のそこここに咲いています。


我が背子が 宿なる萩の 花咲かむ

秋の夕は 我を偲ばせ

                    

 

訳=私のあなた。その家の庭にもう萩の花が咲きますね。この秋の夕べには、どうぞ萩を愛でながら私のことを偲んでください。愛しいあなた。(万葉集より  作者:大原今城(いまき))

かみさぎニュース24号掲載分

紫陽花

紫陽花はどこにでも咲いています。原種は日本のガクアジサイだそうです。酸性土壌では青色、アルカリ土壌では桃色に発色。

今回は描写の美しい藤原定家の和歌です。


あぢさゐの 下葉にすだく 蛍をば

四ひらの数の 添ふかとぞ見る


現代語訳:紫陽花の花が夕闇に溶けはじめると、その花と入れ替わるように蛍が飛び交い始め、いつの間にか薄暗い紫陽花の下葉に蛍が光を発しながらたくさん集まってきた。何とその様子が四輪の紫陽花にさらに一輪が増えたかのように見えている。(拾遺愚草 上巻より)

かみさぎニュース23号掲載分

桃の花

写真は今咲いている5弁一重の桃の花です。

桃の花は多種にわたりますが、これが実を結ぶ桃の花です。

今回は教科書にも載る桃の花を詠み込んだ万葉集の秀歌を紹介。


春の苑(その) 紅(くれなゐ)にほふ桃の花

下照る道に 出(い)で立つ娘子(をとめ)


現代語訳:春の庭で一面に桃の花が紅色に咲いています。その花々に照らされ光に映える小道に、桃の花に見とれて、ほのかに顔を桃色に染めて佇んでいる美しき乙女よ…(巻十九 大伴家持)春の庭で桃の花の美しさと可憐な乙女の競演。

※2月号の菅原道真の歌は百人一首の中には入っていませんでした。お詫びし訂正いたします。

かみさぎニュース22号掲載分

梅の花

梅の花は早春の寒さの中で凛と咲き、上品な香りも人を惹きつけます。その上、実の梅干は古来より超健康食品。今回は多くの方が記憶の隅にある? 和歌を紹介します。

東風(こち)吹かば にほひをこせよ梅の花

主(あるじ)なしとて 春を忘るな(春な忘れそ)

 

現代語訳:春になり東風が吹くようになったら、心ならずも大宰府にいる私にその香りを送ってくれ、わが家の梅よ。主人の私がいなくても、咲く時期の春を忘れないでくれ(菅原道真 拾遺和歌集掲載)


かみさぎニュース21号掲載分

もう、半月ほどで新年ですね。今回は1月7日の七草粥に向けて「春の七草」を紹介します。

「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、これぞ七草」この歌の中でホトケノザは聞いたことがないと思います。写真がホトケノザです。

年明けのスーパー等に七草粥セットとして売っています。


古来から、これを食すと1年間、無病息災といわれています。

七草の写真は北鷺町会のホームページに掲載していますので、ご覧ください。


※ナズナ=ペンペン草、ゴギョウ=ははこ草、ハコベラ=はこべ、スズナ=蕪

かみさぎニュース20号掲載分

爽やかな秋。町内のどこを歩いても菊に出会えます。
日本では桜と並んで国の花ともいえる存在です。古来より野菊として故郷の山野を彩っていたのでしょう。

さて、今回は菊を詠み込んだ百人一首を紹介します。

心あてに 折らばや折らむ 初霜の

  おきまどはせる 白菊の花

(訳=たぶん、これが白菊だと思い手折ってみよう。初霜が降りて一面真っ白になってわかりにくくなってしまった白菊を)


生け垣でよく目にする小菊が好きです。



かみさぎニュース19号掲載分

(尾花=ススキ)

(朝顔=桔梗)

萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花また藤袴 朝顔の花

(万葉集 巻八1538)山上憶良

             

「秋の七草」を詠みこんだ有名な和歌です。葛以外は上鷺宮近辺で目にすることができます。

特に萩、尾花は町内どこでも出会えます。撫子、桔梗、藤袴、女郎花は花店で買えますが葛は山野で繁茂するので町内では見られません。

「秋の七草」に関する和歌等は素晴らしい作品が多いので別の機会に紹介します。



絵本のひろば

かみさぎ花だより

銀杏(公孫樹)は不思議な植物で約2億年前後の中生代から新生代にかけて地球上に繁栄後、氷河期でほぼ絶滅し、わずかに生き残ったのが現存の銀杏だそうです。

 

金色(こんじき)の
小さき鳥の 形して

いてふ散るなり 夕日の丘に

与謝野晶子

 

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アクセス

電車の場合

西武池袋線『富士見台』駅を出て、南の方向に徒歩約10分。

※あかしや通りを真南に行き、野方警察署『上鷺宮駐在所』の先で左折し、『とちのき通り』を約150m歩きます(左手)。

 

バスの場合

関東バス(旧:なかのん)で『武藏台高校入り口』下車。

富士見台駅(北)の方向に約600m(約8分)ほど歩きます。

※付近は閑静な住宅街で大きな目標がありませんので、付近の人に道順をお尋ねください。

関係先リンク

区民センターや警察署などのリンクページです。

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